お灸は一日に何回してもいいですか？

．．．標題のようなご質問が患者さんから直接ありました。

これは当院に一日に何回来院されてもいいですか．．．
と聞かれているわけでは当然ありません(笑)。

セルフケアとしてのお灸を一日に何回もしていいですか
と聞かれているわけです。

ここでいうお灸というのは、
さいきん出回っているワンタッチ灸（せんねん灸のような）のことです。

じつのところ、私は、ワンタッチ灸のことを軽く考えていました。
ようするに「お灸もどき」ではないか、と。

だからせんねん灸の類を「お灸」と呼ぶことに若干のためらいを
覚えていたのも事実です。

ある先生（仮にＡ先生とします）から聞いたワンタッチ灸の「効果」

A先生のもとにある患者さん（仮にＢさんとします）がきました。
Ｂさんはかなり重い病気であったらしい。

どうしようかと考えたＡ先生は、自宅でお灸をしてください
（と言って、お灸をすえるツボをおろしました）。

そして時々鍼灸の治療をしましょう
と話しました。

Ｂさんは一日三回、Ａ先生がおろしてくれたツボにお灸をしました。
来る日も来る日も、かならず治るんだ、治すんだという強い思いをもって．．．。

そして半年後、Ｂさんの病は本当に癒えていました。

というお話しが、ワンタッチ灸を見直す切っ掛けとなりました。
強い思いをもってすればどんなツールでもいいのだ、
ということなのでしょうか。

たしかに、お灸によるセルフケアの意義を考えてみるに、

・施術と施術の間の“つなぎ”になる
・続けることで、「必ず治る」というモチベーションを高めることができる
・続けることで、鍼灸施術のより効きやすいからだづくりにもつながる
・つまるところ、治癒力を高めることにもつながる

ということですから、Ａ先生とＢさんのされたことというのは、理にかなっていた
ということになります。

ということで冒頭のおたずねに戻ります。

原則は一日一回でいいのですが、
一日一回でなければならないとか、それ以上してはいけない
ということではありません。

これは実は鍼灸の刺激量とその人の感受性の問題に絡むのです。
だから私たち一生の課題であって、カンタンなことではありません。
ということではありますが、一応のお答えをしておきましょう。

一日一回を原則にするといいと思います。
ですが、少し慣れてきたら、ご自分のお体と‘相談’しながら回数を増やしても
いいかもしれません。

一日に二回とか三回とか。

実は、一日に何回すえてもいいんです。
ただし、あなたのお身体が受け付けることができるだけの“刺激”の範囲である限り。

つまり、その範囲を超えると、だるくなったような感じがしたり、
甚だしいときには、症状がひどくなった感じがするかもしれません。

それはすえ過ぎだろうと考えます。その場合は回数を減らしてください。
そして、あなたの今のお身体に適した回数を見つけていただきたいと思います。

お灸の“適量”回数を見つけて,すえ続けられることは、あなたの症状を
軽くするだけではなく、鍼灸施術の効果を高めることにもつながります。

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