腰痛は心のあり方が影響する...ということ
って、今では当たり前すぎのような気もしますが(笑)。
『幸せの腰痛学校』(伊藤かよこ著)という本は
・小説形式です
・ただしその内容は科学的に検証されたものです。
・ネタバレしないように言うと、6人のそれぞれに違う腰痛持ちの男女が、
8週間にわたる腰痛改善プログラムに参加する....というお話しです。
「本書の中で詳しく描かれる認知行動療法、すなわち腰痛に対する間違った情報の
是正と、無理なく段階的に活動量を増やしていく方法は、現時点で最新の科学的
エビデンス(根拠)に裏付けられた慢性腰痛に対する最も効果的な治療法のひとつ」
(解説・長谷川淳史氏)であるとされています。
・そして、なんと読むことで読者の腰痛を改善することを目的としているんです。
(実際に、「読書療法」なる治療法があるそうです)
・私の腰痛は、改善はしませんでしたが、腰痛下肢痛の成り立ちを再確認すること
ができましたし、また何度も読みたくなる本だと思います。
私の小さなカミングアウト(笑)
かつての私(鍼灸師・施術者としての私)はそれは心(つまり脳)が症状に影響するという側面もあるだろうが、
主には愁訴の有る部位(この場合は痛む腰)やそれに関連した経絡に治療(施術)を加えないと治ることはない
...と固く信じておりました。
ここで、この本に私が出会う「前史」に簡単に触れます。
「私が開院した理由」ページにも書きましたが、
私には幼少期から「大腿四頭筋拘縮症」なる病気というか症状が
あります。これによって、そりゃあ色々有ったわけです(笑)。
その後、2012年、今度は腰痛と下肢痛を発症します。
正確に言うと、それより前からなんとなく痛みを感じたり感じなかったりという状態がずっと続いていました。
身内に不幸があったのと時を同じくして、「本格的に」腰痛・下肢痛が発症しました。(今から思えば、身内の不幸は発症の切っ掛けになっていたのでしょう)
というわけで、鍼灸師(施術者)としてというより、
痛みを持っている者としてこの本から感じたことなどを書いてみたいと思います。
五年間を「ぎゅっと」縮めて言うと(笑)
詳細を書くと冗長になるんで割愛します。2012年以来...
・脊柱管狭窄症だと診断されました。
・脚の痺れは服薬で消失しました。
・TMSJapan(長谷川淳史氏主宰)の腰痛セミナーに出ました。
・『サーノ博士のヒーリング・バックペイン』『腰痛ハンドブック』
『腰痛のナゼとナゾ』など、様ざまな書籍に出会いました
・おかげで一度は決意した手術もせずに過ごしています。
慢性腰痛の患者さんだけではなく...
ええと、この部分だけネタバレになってしまいます...。
プログラムにかつて参加していて脱落したという設定の
鍼灸師(!)の女性で、「難治性疼痛」を患っていたという人が登場します。
「太陽の光を浴びる」「からだをうごかす」「いい気分を感じようとする」「からだに話しかける」
などプログラムに出てくることで、ふつうの腰痛ならコントロール可能で治っていくけど、難治性疼痛はむつかしいということです。
しかしながらその時点であらん限りの医療処置をうけていて、あとは自分のちからしか残っていないとプログラムを主宰している医師は判断し、自分でできることはしてください...と言うわけですね。
(小説ではこの女性は痛みを克服したことになっています。
難治性疼痛とは違うのでしょうが、鍼灸師の女性ということで、著者の伊藤かよこさんを彷彿とさせる
...と私は思いました(笑))
「痛み」だけではないのでは?
なるほど、腰痛学校ではあるけれども、自己治癒力発動教室なのだなあと(笑)思いました。
実は筋拘縮症(大腿四頭筋拘縮症、三角筋拘縮症・殿筋拘縮症など)を持っている人は、
普通の動作をするのにも、「健常」者とは違い、相当の無理を体にきたします。
そのため、特に加齢に伴って痛み(腰痛とか下肢痛とか)は不可避であって、
どんどん悪化するという不安というか懸念を持っている人が多いようです。
多いようですって、筋拘縮症を持っている多数の人にあったわけではないですが、
少なくとも出会った人たちほとんどすべてそう感じているようです。
間接的にはそういうことはあり得るとは思いますが、
医療的な処置を受けるに際しても、自分で治す、という意識があるのとないのでは
ずいぶんと予後に差が出てくるような気がします。
本書の元難治性疼痛患者さんが言ってました
「先生がおっしゃる“自分で治す”ということは、なにも“自分だけでと言う意味ではないの。
お薬も、注射も、治療も上手く使えばいいの。
ただし“自分ができることは自分でやろうね”ということだと思います」と。
このへんは、自分一人でということにこだわらず、自分でやることは基本だけれども
仲間と共に...ということが大事なのだなあと、納得。
ということでどんな人たちに本書をお勧めするか
『幸せの腰痛学校』という書名を見て、これは腰痛もち「だけ」の読む本だと判断するの早計の気がします。
腰痛を持つ人が読むことはもちろん間違いではありませんが、それにとどまらないものがあると私は見ました。
・慢性・急性をとわず腰痛を持っている人、腰痛で悩んでいる人が家族に居る人
・そして腰痛以外の痛みに悩む人やその家族・知人
・そして痛みではなく他の症状に苦しむ人や家族・知人
こう考えてくると、人生に待ち受ける苦難にたいして、どう人として向かい合うのか..という大きな問題にヒント満載ということではないかと思います。
そして、筋拘縮症の人々—私の身近な人々や未だ見ぬ筋拘縮症の人々—にも、
もちろんお勧めしたいと思います。この本は筋拘縮症について書かれた本ではありませんが、
医療を受けるさいの心構えについて、たくさんヒントが詰まっています。
何度も読みたくなる本だと上述しましたが、ある意味「勇気」が出てくるんですよ。
(勇気はもらえません。自分から出てきます(キッパリ))
参考:『人生を変える幸せの腰痛学校』(伊藤かよこ著、プレジデント社刊)
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